SSTとは

SSTとは
“Social Skills Training”の略で、「社会生活技能訓練」や「生活技能訓練」などと呼ばれています。小児の分野では「社会的スキル訓練」とも呼ばれます。精神障がいを持つ人々は、薬物療法や精神療法などにより症状が改善した後も、対人関係のぎこちなさや日常生活の課題に対処する能力が障害され(生活障害)、そのために家族や近隣、職場の人々との対人関係がうまくいかず社会適応が妨げられ、それがストレスとなって再発を招くことがあります。SSTは認知行動療法の1つに位置づけられる新しい治療方法です。
①対人関係を中心とする「社会生活技能」
②服薬自己管理・症状自己管理などの「疾病の自己管理技能」
③身辺自立(ADL)にかかわる「日常生活技能」
これらを高める方法が開発されています。
近年わが国でもその効果が認められ、1994年4月には「入院生活技能訓練法」として診療報酬にも組み込まれました。
現在では医療機関や各種の社会復帰施設、作業所、矯正など多くの施設で実践されています。精神障がいを持つ人たちの自己対処能力を高め(エンパワメント)、自立を支援するために、この方法が広く活用されることが期待されています。

SSTの普及
わが国には1988年から精神科リハビリテーションの一方法としてSSTが導入されました。矯正教育と更生保護事業の分野でも90年代の半ば以降本格的に導入されるようになりました。対人行動学習は早く始めるほど効果があがります。友達を作れない人や一緒に遊べない子が増えているため、学校教育にも広まっています。1995年には一般社団法人SST普及協会という全国組織ができ、いろいろな研究・研修事業を展開しています。

一般社団法人SST普及協会

一般社団法人SST普及協会南関東支部

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SSTの取り組み
SSTはさまざまな場面・対象に広がり、効果をあげています。統合失調症に対するSSTのバリエーションとして、病棟やデイケア、作業所、訪問看護など、場面に応じたSSTがあります。精神障がい者や家族に対するSST、教育現場や少年院、更生保護施設でも取り組まれています。